写真集 Òran Na Gaoithe 風の歌のレビュー

写真集 Òran Na Gaoithe 風の歌
写真集 Òran Na Gaoithe 風の歌

今回の加藤秀さんの「Òran Na Gaoithe 風の歌」の作品はスコットランドの西岸に広範囲に広がる島嶼部ヘブリディーズ諸島である。

これらの島々は中石器時代にさかのぼる長い歴史を持ち、ケルト人、ノース人、英語を話す人々からの相次ぐ占領で、住民の文化は影響を受けてきた。
住民の多数がスコットランド・ゲール語を話せる島もあるそうだ。

一番北のルイス・ハリス島は大英博物館の重要な宝となっているチェス駒やハリスツイードが有名だ。そして「アヘン戦争」で知られているジャーディン・マセソン商会(前身は東インド会社)の創業者ジェームズ・マセソンが1844った記録が残っている。

南にあるエリスケイ島はイギリスの国王ジェームズ1世(6世)の末裔にあたるボニー・プリンス・チャーリーがふたたびイギリスの国王を夢見てフランスから上陸したところである。
その後「カローデンの戦い」で敗れスカイ島にのがれ出生地ローマで亡くなる。

またエリスケイ島は第二次世界大戦中の1941年、約24万本のウイスキーを積んだイギリスの貨物船が、スコットランド沖のエリスケイ島で座礁した史実がもとになってコンプトン・マッケンジーに小説化され後に映画化された「ウイスキー・ガロア」でも有名な島である。

ボニー・プリンス・チャーリーが逃れたスカイ島は映画やCMによく使われる。ブラック・クーリンやキルト・ロックが有名である。

スカイ島の南にあるアイオナ島はアイルランドの守護聖人のひとりである聖コルンバ(コロンバ)が563年にアイルランドから亡命して創建した修道院があり現在も残っている。

ヘブリディーズ諸島の南に位置するアイラ島はウイスキーの聖地で知られているが千年前はロード・オブ・ジ・アイルズ(島々の君主)の親玉が住んでいた島でフィンラガン胡は国会議事堂の役割を果たしていた。島の南にあるキルダルトン・クロスはケルト十字が有名だ。

アイラ島の東にあるジュラ島(鹿の島)は作家ジョージ・オーウェルが1949年に「1984」を執筆した所として知られている。

キンタイア島の東の島アラン島は「スコットランドのミニチュア」と呼ばれている。
そしてスコットランド国王ロバート・ザ・ブルースの「蜘蛛の巣の伝説」が有名である。

加藤氏の作品を見ながらスコットランドの風景や歴史に思いを馳せている。

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リトルチャロさん

スコットランドのヘブリディーズ諸島の自然や遺跡、動物や人々の営みを捉えた写真集です。寂しさの中に温かさを感じる写真が魅力です。

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朧さん

ほんとに風の歌が聞こえて来そうです。
外装も写真も素晴らしくとても素敵な写真集です。作品展も楽しみにしております。

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contaxloveさん

渾身の一冊。前作『ST KILDA』も素晴らしい写真集でしたが、今回も対象がもつ本質をとらえているように感じます。この地の風景へ、動物へ、人へ向ける眼差しの愛というか、撮り手の気持ちはこんなふうに写るんだなと思いました。

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がべさんさん